一橋大日本史は小問ごとの字数指定がなく、大問1つで400字という独特の形式なうえ、東大や京大とは異なり、難関私大入試で必要な知識がある程度、求められます。特に社会学部や法学部受験者は配点が高いため、地歴の対策をしっかりやる必要があります。昔と異なり、2010年代以降の日本史は難易度は易しくなっていますので、対策を怠ると差がついてしまいます。
対策を進める際は、『一橋大の日本史20カ年』(教学社)にある頻出分野の整理を利用しつつ、小問ごとに類題を解いていく形をとりましょう。参照する教材としては、山川『詳説日本史』と実教『日本史B』、もしくは山川『詳説日本史』と『日本史の論点』(駿台文庫)を併用するのがよいでしょう。
小問ごとの字数指定がなく、大問1つで400字という独特の形式は、特に気にする必要はありません。小問ごとに字数が書ければ、400字に整えるのはさほど大変ではありませんし、近年の一橋大日本史は「字数を割かなければならない小問(受験生が書ける小問)」と「字数が割けない小問(受験生が書けない小問)」がある程度、はっきりしています。
答案例としては『一橋大の日本史20カ年』(教学社)、青本を参照するとよいでしょう。答案例の中で知らない知識があれば、吸収していく意識が大切です。
以下に示した答案例は、田中が独自に作成したものです。受験生が一橋大日本史に取り組むにあたって、答案例の1つとして参考にしてもらえればと思います。
受験日本史の指導者の方にも参考にしていただければ幸いです。一橋大受験生を指導するにあたって、複数の答案例に触れながら、考えることは重要と考えます。答案例を使用の際は田中一平が作成した答案例であることを明記して、ご使用ください。
更新履歴
2023年4月3日、2023年の答案例を公開しました。
答案例
年度 | 第1問 | 第2問 | 第3問 |
2023年 | 明治初期から昭和初期のマスメディアと政治 | 太平洋戦争末期〜高度成長期の政治・外交・社会経済 | |
2022年 | 大川捨松とスペイン風邪 | 軍部の台頭と学問弾圧 | |
2021年 | 近代東京の人口動向 | 近現代ジェンダー史 | |
2020年 | 明治期の天皇制と国民意識 | 戦前の議会制度の変遷 | |
2019年 | 都市大衆社会と文化 | 戦後改革と天皇制 | |
2018年 | 前近代の金融と貨幣制度 | 日中戦争とその影響 | |
2017年 | 婦人参政権の動向 | 戦後の経済と教育への影響 | |
2016年 | 工場法の制定と明治期の産業構造の特徴 | 近代の政党と政治 | |
2015年 | 江戸時代の災害(明暦の大火、天明・天保の飢饉) | 近代の海運業とアジア太平洋戦争 | 日本国憲法と天皇制 |
2014年 | 前近代の仏教 | 欧化政策と自由民権運動(オッペケペー節) | 天皇機関説と戦前の大学をめぐる動向 |
2013年 | 近世身分制 | 日露戦争と第1次世界大戦 | 人物史:岸信介 |
2012年 | 前近代の都市 | 近代日本の紡績業と製糸業 | 大日本帝国憲法と日本国憲法 |
2011年 | 古代~現代の法制史 | 井上外交とその影響 | 1920年代の国際協調体制 |
2010年 | 江戸時代の商品・貨幣経済の進展とその影響 | 1920~1960年代の人口動向とその背景 | 近現代教育史 |
2009年 | 中世・近世の文化と南北朝期の社会変化 | 近代地主制の成立と崩壊 | 戦前期日本の陸海軍 |
2008年 | 前近代の法制史 | 大戦景気と都市大衆社会 | 田中角栄内閣の外交・経済政策 |
2007年 | 室町~江戸時代の村落 | 企業勃興と紡績業 | アジア太平洋戦争の戦後処理 |
2006年 | 15~18世紀の日朝関係史 | 戦前の政党政治と首相の権限 | 戦時体制とアジア太平洋戦争の性格 |
2005年 | 大戦景気と社会運動 | 日中、アジア太平洋戦争と戦争責任 | |
2004年 | 江戸時代の産業発展とその文化的影響 | 産業革命の特徴 | 沖縄返還と沖縄問題 |
2003年 | 江戸時代の商品作物栽培と農村への影響 | 戦時統制経済 | アジア太平洋戦争直前の日本外交 |
2002年 | 前近代の貨幣史 | 日本の産業革命の特徴と農業の関連 | 戦前日本の軍隊(統帥権と兵役制度) |
2001年 | 19世紀前半の農村社会の変化 | 金融恐慌と金輸出再禁止 | 日本国憲法 |
2000年 | 中世の一揆と近世の一揆 | 戦前の労働運動 | 国際協調体制と国際連盟脱退 |
塚原哲也と一橋大日本史を語る会(駿台の塚原先生と2人で雑談→指導者向け)